スタニスワフ・レムさん死去

惑星ソラリス」原作者 スタニスワフ・レムさん死去
2006年03月28日00時50分

 スタニスワフ・レムさん(ポーランドのSF作家)27日、ポーランドクラクフで死去、84歳。秘書が明らかにした。タルコフスキー監督の映画「惑星ソラリス」の原作となった「ソラリスの陽のもとに」の作者として知られる。現代で最も著名なSF作家の一人で、作品は40以上の言語に訳された。(AP)

世界で最も有名で、世界で最も優秀だったSF作家が亡くなってしまった。アルカジイ・ストルガツキイの訃報以来のショックである。
博識と鋭い洞察、読者への問題提起、そしてちりばめられたユーモアなど、「完璧な作家」がもしいるのだとすれば、レムはその筆頭に挙げられるべき人物だったと思う。
一度でいいからクラクフまで訪ねていってご本人にお会いしたかったものだと思う。実際に会った人達の話によると、突然の来客にも非常に親切に接してくれた紳士だったという。
私がレムに関して行った作業はと言うと、SFマガジン2000年2月号に再録された「事故」に大幅に手を入れた事、SFマガジンのレム特集(2004年1月号)で作品解説を少し書いた事、「ソラリス」が刊行された時に「週刊読書人」に推薦文を書いたことくらいしかない。
やはりレムに関しては深見さんや吉上さん、沼野さんの功績が大きく、私などが関わる余地などあまり残っていなかったのだ。また、私にはポーランド語がわからないため、ロシア語か英語経由でしか手を出せなかったということもある。
もう少し、この偉大な作家を日本に紹介する作業に関わりたかったものだと、かなり悔やまれる。