身を削ってこそのプロ?

がんに侵された腎臓の摘出手術を昨年7月に受け、療養しているプロレスラーの小橋建太が、リング復帰に向けて受け身やロープワークの実戦練習に入っていることが、10日分かった。
「プロレス界の鉄人」が、文字通りの“鉄人”ぶりを証明しようとしている。腎臓摘出手術を受けたのが、昨年7月6日。ちょうど1年たった小橋が、ついにリングでの本格練習を再開し、年内復帰を明言した。
もっとも、右の腎臓を摘出しただけに、実際に試合をするには、医師らの判断を待たなければならない。臓器摘出後に現場復帰したプロレスラーは、世界的にも報告例がない。特にノアは激しい技の攻防が特徴なだけに、スタミナ面で不安がある。
それでも、小橋は「みなさんの希望の星になれるよう、年内に復帰を」と明言した。本当に復帰すれば、プロレスファンだけでなく、がんをはじめ重い病気に苦しむ患者や家族にも心の支えになるのは間違いない。

小橋健太 年内リングを明言 がん克服、壮絶復活を本誌に激白

 プロレスラーというのは、限界ギリギリまで鍛え上げた身体を使い、危険な技を見せ、そして受け、観客に興奮と感動を提供するという凄い職業だと思う。
 アングルと呼ばれる「大きなストーリー」の一部として試合が存在するので、日常の一挙一動、発言、生き様がすべてプロレスだとも言える。
 すなわち、プロレスラーにとっては、リング上のパフォーマンスだけでなく、自分の身体、考え方、生き様までが商品ということになる。
 小橋建太は、リングへの復帰というのがいかに危険なことであろうとも、「癌を克服し、プロレスという厳しい場に戻ってきた」というストーリーが、ファンに感動を与えるということを承知した上でリングに戻る決意をしたのだろう。まさに、命がけのアピールであり、身を削るパフォーマンスである。「癌の克服」が商品になり、ファンに対して訴えかけることができるとわかっているので、あえて危険な道を選んだのだ。
 「プロである」ということに対して、ここまでのこだわりを持って生きる人間がいる。
 それに対して、賛否の声はもちろんあるだろう。「あまりにも酷すぎる」という批判もあると思う。しかし、本人がそれを選んだのであれば、私は応援したいと思う。
 やっぱり、プロレスって凄い世界だわ。

NOAHを創った男―三沢光晴の参謀

NOAHを創った男―三沢光晴の参謀