「あなたの聖書は正しいですか?」

 そう書かれた紙を持って立っている人がいた。これ、明らかに「ものみの塔エホバの証人)」なのだが、あの人達はスタンダードとされている新共同訳や、プロテスタントの一部が使っている新改訳の解釈を認めず、「新世界訳」という独自の解釈で翻訳された聖書を使っている。
 で、問題は、この聖書がとんでもなく危険な思想を信者に伝えているという点なんだよね。
 あんまり知られていないことだと思うので、新世界訳聖書の危険性を紹介しておこう。
 そもそも、他の聖書はギリシア語からの翻訳なんだけど、新世界訳は英語訳されたものの和訳で重訳なんだよね。で、こいつは英語の訳本の段階で解釈に問題が多すぎて普通の教会からは相手にされていなかったりする。でも、あの人達は自分たちの聖書こそ本当だと信じているからタチが悪い。
 いや、何を信じても良いんだよ。個人の問題だし。でも、あの人達は、「新世界訳」の内容を広め、「終末」を警告し、一人でも多くの人を救う事こそが自分たちの使命だと考えているカルトだから始末に負えないんだよねー。
 あの人達の考える終末思想は、たとえば次のところから読み取れる。引用は「マタイによる福音書」の24:3ね。

  • 新共同訳

エスがオリーブの山で座っておられると、弟子たちがやって来て、ひそかに言った。「おっしゃってください。そのことはいつ起こるのですか。また、あなたが来られて世の終わるときには、どんな徴があるのですか。」

  • 新改訳

エスがオリーブの山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。「お話ください。いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」

  • 新世界訳

[イエス]がオリーブの山の上で座っておられたところ、弟子たちが自分たちだけで近づいてきて、こう言った。「わたしたちにお話ください。そのようなことはいつあるでしょうか。そして、あなたの臨在と事物の体制の終結のしるしには何がありますか」。

 ここで問題になるのは、「臨在と事物の体制の終結」という訳のわからない訳語である。エホバの証人による解釈は、下記のようになる。(信者によるサイトから引用)

  • 臨在

挙げられている多くのしるしは、臨在の開始すなわち到来が近いことを示しているのではないでしょうか。
24:33でイエスは「同じようにあなた方は、これらのすべてのことを見たなら、彼が近づいて戸口にいることを知りなさい」と言っておられます。
彼が戸口から入ってきて(到来)、一緒に部屋に居始めたら(臨在の開始)、なぜ今更しるしが要るでしょうか。
彼が未だ到来せず近づいているだけだからこそ、しるしが要るのではないでしょうか。

「雑草」、すなわち「邪悪な者の子たち」は「人の子の王国から集め出される」ことになっていました。
真のクリスチャン会衆はこうしてきれいにされて、清い小麦の畑になり、見せかけだけの偽のクリスチャンは、真のクリスチャン会衆から除外されるのです。
雑草のような者たちは最終的に「火の燃える炉」に投げ込まれますが、小麦のような者たちは「その父の王国で太陽のように明るく輝く」ことになります。
このことはサタンの邪悪な支配下にある事物の体制の、滅びに先立つ終結の部分を明確に指し示すものでした」
とされています。

 これでわかるように、エホバの証人は、聖書を「終末の予言書」だと解釈している。それで恐怖感を煽り、自分たちを選ばれた「真のクリスチャン」であるとするカルト思想へと導くのである。非常に危険かつ間違った方向性を持ったカルト教団と言わざるを得ないんだね。
 というわけで、カルトにはカルトであると断定される危険な要素が含まれているということで、一つ。だから、タイトルに書いた「あなたの聖書は正しいですか?」という問いかけには、「お前が言うか!」とツッコムのが正しい。
 みんな、カルトの誘惑には十分に気を付けて生活しようぜ。


#次に解説するカルト宗教のリクエストには応じます(^^;;