第36回全日本空手道選手権 所感

 男子組手。荒賀龍太郎vs松久功の準決勝は、「名勝負」として伝説になるだろう。あんなに熱い試合を見たのは久しぶりだ。荒賀の若さとスピードを、松久の上手さと経験が何とか上回ったといったところか。来年はどうなるのかわからないので、この対戦は楽しみだ。
 女子組手で優勝した新井彩可は、ひたすら上手い。コツコツとポイントを重ね、気が付いたら大差を付けて勝ってしまう。今のルールは大技のポイントが高いのだが、こういう確実性を狙った勝ちかたでも世界に通用するんじゃないかと思う。
 女子形は宇佐見里香と諸岡奈央という対称的なタイプの決勝。スピードとキレの宇佐見、流れとバランスの諸岡。判定が僅差だったことを考えると、宇佐見がもうちょっと荒い部分を修正すれば伸びるんじゃないかと思った。
 男子形は片田貴士と古川哲也による「スーパーリンペイ」対決。ただ、糸東流剛柔流なので、少し違う。すっきりとした動きの片田、粘っこい動きの古川。どっちが良いのか、私には判断できなかったのだが、これも僅差の判定だった。