かなり良い本

 極真の伝説「岸信行」の本が出る!
 極真に限らず、武道関係者は必読!

 悪口にも言い方があるよね。「大山倍達は韓国人だ」とまるで韓国人であることを批判するかのような口調で喋る人がいるけど、まず韓国人だったらどこが悪いんだよ。韓国人も日本人も同じ東洋人で、同じ人間じゃないか。良いか悪いかはその人そのものとかその人のやったことで言ってもらいたい。どこの国にだって良い人と悪い人はいるよ。
 俺は山形生まれでズーズー弁だから大山館長の苦労が良く分かったね。俺だって日本人である前に東北人で、えらく古い話になってしまうけど、蝦夷地の人間、大和朝廷からしてみれば、「まつろわぬ民」の末裔だ。「何が征夷大将軍だ? もともと東北に住んでいた原住民が何で征伐されなきゃならないんだ、馬鹿野郎!」ってね。

 そういう本人にどうしようもないことで攻撃すると、攻撃する人間自らを醜くする。そして自分が実力において存在において負けているっていうことを認めている証拠だと思う。大山館長の存在や偉業に勝てる自信があったら批判しないよ。

 昔の日韓併合だとか色々な問題があって、本人の意思の関係ないところで、日本人にされたり、名前変えさせられたり、また韓国人だ、朝鮮人だと言われたり、周りの都合で日本人として生きろと言われたり、やっぱり韓国人だと言われたり、そういう厳しく冷たい波にもまれながら当時の在日朝鮮人のひとたちは生きてきた。それは日本という国がそうしてしまったというところもあるよね。だからその人々が日本を恨む部分はあると思う。そこでまた摩擦が起きる。今は在日三世が大人になり、四世が子供の時代だろう。そういう人達が苦しまないで生きていける社会がくると良いと思う。
 人間として誇り高いあの大山館長もそういう波の中で揉まれていたんだね。言わば、大山館長にとって日韓は二つの祖国で、その両方の長所短所を知っていた。そして両方の国を愛していると同時に祖国が二つあるが故の孤独というものが大山館長にはあった。そういう苦悩の中で大山館長は祖国韓国を愛しながら、日本の武道や若者の将来の繁栄を願っていてくれた。