天然ガス問題,まだ続く

ウクライナティモシェンコ首相とロシアのプーチン首相の会談が近く実現する見通しだ。ティモシェンコ首相によれば、最近両首脳は電話会談を行い、天然ガスをめぐる両国間の緊張は「完全に払拭(ふっしょく)された」という。

ロシアのガスプロムにとっても、同宣言は歓迎しがたい。ウクライナのガス移送施設や貯蔵施設の使用に欧州の企業が直接参入してくるとなれば、ガスプロム側の移送・貯蔵費用が上がる可能性が高いからだ。ウクライナがEUのガス消費者と独自に取引を行う可能性もあり、ガスプロムにとっては大きな損失だ。

ウクライナ天然ガス移送問題 「供給側の利権」依然ロシアの壁

 EUからのガス移送システムへの融資があると,再びロシアとの関係は悪化する.ティモシェンコ首相にとって,この事態だけは避けたいだろう.
 ロシアとEU,どちらとの関係を重視するのか,これはウクライナにとって頭の痛い問題であることは確かだ.
 EUからの融資を受けたとして,それが実現したら,完全にロシアを敵に回すことになる.再びガスプロムからの供給停止とか,ウクライナに対するロシアからの融資は打ち切られる可能性もある.
 近くにあるロシアからの50億ドルを受け取るのか,数年後になるEUからの30億ドルを期待するのか,まあ答えは明白だろう.ティモシェンコ首相の判断は,たぶん正しい.