カワイイは全ての裏を隠す

【上海万博】かわいい! 「ギャル系人民服」に歓声 (1)

 元々は軍服のデザインを転用した学生の制服、住み込みの使用人(地域と時代によっては奴隷)の服だったメイド服、全員平等のアピールとして極限まで行った社会を見せた人民服。。。
 まぁ、歴史を考えると、その瞬間は少し暗澹たる気分になるんだけど、それも一秒以内には消えるよねぇ。(そもそも、身の回りに溢れている服装に関しては日常化しているから、そんな事を考えもしないし)
 学生の制服は、元が軍服のデザインだといっても、すでに百年近くも経過して十分に別の意味を得ているわけだし、奴隷制度はほぼ無くなったし(とはいえ過酷な労働を強いられている方々がいるのは知っているけど)、人民服はすでに過去のものになっていて中国本国ですらネタにしかならないわけなので、起源まで遡ってとやかく言うのもお門違いなんだよねー。
 そういう物を「カワイイ」という意味に転換してしまう「ネタ化」とか「萌え化」って、ある意味、最高の価値観転換手段だよね。元の意味なんて全く関係なくて、単純な商業的な面での奇抜性を狙った特徴化とか、最初からネタでしかないコスプレとか、さらには日常的に街を歩くファッションにしちゃうんだからね。軍服はまだ誇って歩く人がいるけど、メイド服とか人民服って、すでに誇って歩く人はいないから、それをネタとして「カワイイ服」だと再定義するって、すごいパロディだよね。
 まぁ、たとえこういうオブラートの向こうに隠れた意図があったのだとしても、この方法って結局は表層的な見た目でしか判断されないので、イデオロギー的な何かに利用しようとしても、それはあんまり効果的じゃ無いと思うし、そんなことをしたら消費者もすぐに離れるくらいに軽い話だとは思っている。
 このほうほうって、今の時点で元の服が持っていた意味を「どーでもいー」ものにしてしまう方法になっているというだけの話で、これが未来永劫使えるとは思っちゃいないし、ずっと続くわけじゃないけどね。
 次は、ブルカの萌え化とか、誰かやらない?

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