柳沢発言の件、トラックバックが来たのだが

   女性ハ神聖ニシテ侵スベカラズ

女が不愉快なのは仕方ないが、男のこういう反応は困りものだ。

何だか、同じ「男性」として、とても恥ずかしい発言だ。不愉快に思われる女性の方々に申し訳ない。

 「女性にあんな失礼なことを言う男は、同じ男として許せない。しかし女の人たち、男はみんなあんなだと思わないでね。俺はそんな男じゃないからね」ってことだ。しかしあなたがウェブ上で公開するその申し訳なさとやらは、男の下心でしかないのだよ。

 うーん、私は自分の考えを正直に言ったまでである。私の考えが果たして下心なのか、そうでないのかは私自身にもよくわからない。でも、この「下心」って、何のための下心なんだろう? それがまずわからない。「女性におもねっている」ってことなの? ゴマすっているってことなの? そのへんがよくわかんない。(それにしても、この人、いきなり「あなた」だとか「のだよ」とか、不必要なまでに偉そうだね)
 でも、「下心である」と断言されてしまっている。困ったね。私の信条や心情、生活の何がわかった上での発言なのだろうか? そもそも、私が書いたような文章に対して「下心」だと思うのは各人の勝手だが、人の言説に対して論及する以上、発言には説得力をもった根拠を提示するのが最低限のマナーだと思うんだけどね。それがされていないから困ってしまうのだが……。
 この人の私に対する一方的な決めつけって「極論・暴論」の類でしかないと思うんだけど、男の側にだって、いろんな考え方をするヤツがいるという視点が抜けていない? それこそ「男はみんなあんなだと思わないでね」と私は言いたいのだが、それを「下心」の一言で済ませようとするのは狭量的すぎないか?
 「女性ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」などということまでは考えていないが、逆に「男性ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」などということも考えていない。あくまでも(性別的な役割を除いて)「社会の中」において「人間」として対等の存在であり、人間である以上、尊重されなければならない。「機械」などという発言は「政治家」としては許されない。
 後段のほうにある、フェミニズムの文脈とか生物学的、社会学的な文脈で男女間の役割を「機械」とか「器官」と捉えることは自然な例えだとは思うのだが、「少子化問題について語る政治家」としては、やはり不適切な発言でしかないと思うし、サンドバッグになるのも仕方がないと思う。
 使っている用語や、比喩の方法のみで比較して、女性論者や生物学者と、柳沢厚労相を比較するのはフェアではないだろう。この場合、「誰がどんな立場で、何の目的で言ったのか」のほうが重要なのではないだろうか。
 その視点が抜け落ちている時点で、私的にはアウトだと思う。学問に淫するのは良いのだが、「生活者」の視点が抜け落ちた学問は「虚」でしかない。


 こっから私事。
 実のところ、我が家は、子供を作る事を放棄した。奥さんの健康上の理由もあるし、経済的な理由もある。この点に関して夫婦間で意見を同じくしたからだ。しかし、子供が欲しくなかったということはない。
 だから、「女は子供を産むべき」とか「産め」という論調には、すべからく反発を感じる。この世は、健康で出産と子育てができる男女ばかりではないのだ。
 私は、「女」というとき、一番身近なモデルとして、まず奥さんのことを考える。今回の場合は、一般的な生活者の立場として、政治家から無責任に「産め産め産め、おまえは出産する機械だ」という発言を「自分の奥さんを代表する女という存在に対して投げかけられた」ことに対する生理的な反発である。それ以上でもそれ以下でもない。
 でも、それに何か問題があるのか?
 「産めって言われても困るんだよ。うちの奥さんは機械じゃないぞ。だいたい、こっちにも事情があるんだ。ほっとけよ、アホ」と感じて何が悪かったのだろうか?
 だから、「困りものだ」と言われても、逆に困るんだよね。
 ま、そういうことで。この話はこれまでね。

#いかん、スルー力がまだ足りない。