私が機械に憧れる訳


ボイラーになった頭部や蒸気パイプ、ちゃんと水汲みバケツが下がっているところなどスチームパンク物の映像作品にでてきそうなデザインですが、これでちゃんと歩きます。作者はイラストレータの高橋邦生氏。2005年ハンズ大賞入選作品とのこと。

蒸気2足歩行機Steam Walker

 私はどうも三次元空間把握に問題があるらしくて、機構設計とかはまるっきりわからない。サーボモーターを動かすまでのしくみは理解できるのだが、そのあとの機械部分が不思議で仕方がない。何であんなものを考えつくのだろうかと感心してしまう。
 実のところ、意外に思われるかも知れないが、私の元々の志望は建築設計技師だった。建築学科に入りたかったのだが、計算はできるものの、三次元空間把握がまるっきりダメだということは、技術とか美術の授業で良くわかっていたので、結局は物理学科にした。しかも、実験系は絶対に無理だとわかっていたので、理論系にしたわけだし。
 だから、こういうメカをデザインし、製作できる人は本当に尊敬する。卓越した出来だと思う。
 私のそんなコンプレックスが、タイプライターや手回し計算機、楽器類などへの異常なる愛着になっているのだろう。個人的に機械技術の粋だと思っているのは、第二次世界大戦でドイツ軍が使用した機械式暗号発生器「Enigma」だが、ギアだけで長周期の疑似乱数を発生させるという発想は、とにかく凄い。
 時々、Enigmaの実物がアメリカのネットオークションに出品されるのだが、さすがに高くて手が出せない。

 いつかこの実物を自分の手で動かしてみたいものだ。