言われた方は不愉快だろ

ローマ法王ベネディクト16世は23日、定例のバチカンでの一般謁見(えっけん)で、1492年のコロンブス到達以降の南米でのキリスト教布教について「伝道の歴史の暗い側面を無視することはできない」と述べた。法王はブラジル訪問中の13日、「先住民は聖職者の到来を歓迎した」と語り、「虐殺や奴隷労働の歴史を無視した」と批判を受けていた。事実上修正した形だ。
法王は「我々は先住民が被った苦しみと不公正を無視してはならない」とも語った。
法王は13日、司教協議会の演説で「福音を説くことでコロンブス到達前の文化の自主性を奪ったことはなく、外国文化の押しつけでもなかった」などと語っていた。

ローマ法王、南米での発言「修正」 先住民への伝道巡り

 キリスト教を信じていない有色人種は「人間とはみなさない」という理由で、スペインなどが南米で何を行ったのか、その歴史的事実を全く無視した発言だったとしか言いようがない。
 キリスト教本来の価値観は「博愛」のはずなのだが、文明の衝突や、一方的な文化の押し付け、異端審問などの理不尽な虐殺を行ってきた危険な宗教だったということを忘れてはいけない。
 ラス・カサスは、著書の中で「虐殺を止めるよう」と書いたが、それは純粋に人道的な理由からであり、最初は奴隷の確保に賛成し、進める立場にいた。これが当時のキリスト教会の考え方だったのだ。
 法王は、ラス・カサスが告発した内容を忘れていたと、非難されても仕方がない発言をしてしまったとしか言いようがない。

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