そういや、こいつも外道だな

チリ最高裁は21日、軍特殊部隊による民間人殺害への関与、陸軍情報局での市民拷問への関与で殺人などに問われた2件の人権侵害事件と、他の5件の容疑について、引き渡し要件にあたると認定。フジモリ氏は、チリとペルーの引き渡し条約の規定に従い、これらの罪についてのみ、ペルーの最高裁で裁かれることになる。

フジモリ氏をペルーに移送 チリ警察が身柄引き渡し

 同じ日系人であるというだけで弁護する必要はない。悪いヤツは悪いヤツ。それ以上でもそれ以下でもない。
 日本公邸がトゥパク・アマルに占拠された際、年端も行かぬ少年兵まで皆殺しにした残酷な手口を私は忘れていない。
 トゥパク・アマルがとった行動は「武力による占拠」という間違ったものだった。だが、もともとは「富裕層が独占する富を貧困層へ再分配する」という、虐げられた側の論理を実践するという組織だったはずだ。あの時に殺された少年兵も、貧困の中で育ち、社会への不満を解消するという志を持って組織に参加したに違いない。さて、「富裕層が富を独占し、貧困層が苦しい生活を強いられている社会」を是とするのか、そして「その格差を何とかしようと活動すること」を非とするのか。私はそんな価値観にはとても賛成できないので、あの事件の際に伝えられた論調には賛同できなかった。
 実際、占拠事件の際も、トゥパク・アマルの兵士は、人質に対して非常に紳士的だったという。
 私があの事件に見て取ったのは、富裕層が贅沢三昧のパーティを開いていたという事実と、格差に対して我慢がならなくなり、それに対抗するために「組織化」するしかなかった人達の対立だった。しかも、富裕層は警察や軍隊という「合法的暴力組織」に守られているのだ。
 合法的暴力組織に守られた特権層に対抗するために作られた非合法的組織。果たして庶民の味方はどっちなのか?
 「勝てば官軍」という。ベトナムキューバで「富裕層の解体と貧困層への再分配」という、同じ目的で同じ事をしたホーチミンカストロゲバラは英雄になっている。
 さてさて、そう考えると、「権力の最高位にいて合法的暴力組織を動かし、民衆のために活動している組織を皆殺しにした」という悪の頭領は誰なのか、答は明白である。
 この事件の難しい点は、「武力で占拠した」という点だけで判断すると、必ず間違うというところだ。背景にある富裕層・特権層による富の独占、武力による民衆への弾圧と、それを解放しようとした集団という図式で評価すれば、価値は全く逆に見えてくる。
 というわけで、私はフジモリを最低の殺人者であり、独裁者であったと評価している。
 この後、一生、刑務所に入ってくれ。


#だいたい、「Ζガンダム」なんかの「一方的に搾取・弾圧する体制」vs.「反体制抵抗組織」という構図を見て、エウーゴの側(反体制)にシンパシーを感じていながら、同時にフジモリを支持できるという方々の神経がまるっきりわからん……。逆じゃんねー。実際、そういう人って、けっこう見かけたよん。