ロシア人ロシア政治学者の意見

「メドベージェフ氏はシロビキ(軍・治安機関出身の強硬派)と関係がなく、対外的に柔軟な態度を取ることができる。プーチン氏は首相就任でリーダーにとどまり、メドベージェフ氏が任期途中で辞めれば大統領職に復帰できる。(ロシアの指導者は)『プーチン後もプーチン』だ」
「後継指名で有権者の選択の自由は事実上なくなった。非民主的との批判も上がるだろう」
「権力維持には軍や治安機関をコントロールすることが必要。プーチン氏が軍事や外交の実権を握り、メドベージェフ氏は主に(経済など)社会発展の分野を担当するだろう。メドベージェフ氏のプーチン氏への忠誠心は強く、二重権力に陥る可能性は低い」
外交政策に大きな変化はない。プーチン氏はエリツィン前大統領の対欧米中心の外交から転換し、アジア太平洋地域に積極的に関与している。日本との関係は上向いており、今後も経済協力が進むだろう」
プーチン氏は本気で日本と平和条約を結びたいと考えている。しかし返還は最大限で(歯舞・色丹の)2島。日本側は4島一括返還を主張しており、現時点で解決は困難だ。いったん領土問題を“水入り”にし、日露の(経済などの)関係を発展させるべきだ」

「プーチン後もプーチン」「二重構造はない」 ロシア東洋大教授

 ふーん、心配されている二重権力の可能性は低く、二人三脚体制で分担してゆくということか。適材適所という話だね。
 ちょっと気になるのは、メドベージェフの途中交代でプーチンが返り咲く可能性に関してだ。私も、この点については「あり得るシナリオ」だと思っている。ただ、以前から書いているように、私はプーチンが権力欲の強い政治家だとは思っていないので、「あくまでもヘルプ」ということになるのだろうとは思う。
 とはいえ、メドベージェフの後にはプーチンがいる、という存在感はそれだけで海外にとって圧力になるだろうから、それは良い方向に向くと考えられるが、逆にそれをもって「院政だ」、「マリオネットの大統領だ」と批判されてもかわしきれないだろう。この点をどう回避するのか、その対策は必要なんじゃないのかなぁ。
 対日政策に関しては、プーチン以後、ロシアの対外政策は明らかに反欧米、親アジアに変わってきているから、この教授の言っている事は正しいと思われる。日本企業のロシア進出も活性化しているし。
 で、ここでも問題になるのは、北にある四つの島なわけね。この問題がある限り、話は進まないわけだし、もう四島に住んでいるロシア人も世代が変わってそこが故郷になっている人もいるわけだから、いきなり「出て行け!」とは言えないだろう。やっぱり、共同統治にして、お互いが自由に行き来できる特区にしちゃうくらいの英断が必要なんじゃないのかなぁ。
 漁業協定にしても、サハリンの天然ガス資源開発にしても、やはり両国の友好的な交流が必要になるわけなので、このへんは早めに何とか着地点を探してほしいものだ。