レムの新刊案内

    早川書房
 近刊予告が出たので明かしてしまおう。スタニスワフ・レムの「宇宙飛行士ピルクス物語」が文庫として9月10日に上下巻で発売される。単純に深見弾氏の訳による単行本を文庫化したものではなく、私が全文を原書と比較し、用語や概念が古くなっている箇所を修正し、読みやすくしたつもりである。また、単行本刊行当時には読者には理解されにくいだろうという事で、工学的・科学的な部分で訳が曖昧にされていた部分をはっきりさせ、ストーリーがわかりやすいようにしたつもりである。
 また、本書は従来思われていた単純な宇宙飛行士の冒険物語ではなく、システム工学や人工知能などに深く関係したハードSFミステリの体裁をとっているので、そのへんを解説として書き加えた。
 本書は、「泰平ヨン」シリーズとは違い、あくまでもミステリやサスペンスの体裁をとった娯楽的ハードSFである。しかも、かなりガチガチのハードSFだと思う。
 本作品が今回の文庫化によって再評価されることを強く望みたい。