用なるもこれに不用をしめし(孫子)

 有能であっても敵の前では無能だと思わせておけということ。敵をいかに騙すのか、これを考えないといけない。古来から伝わる兵法の基本ね。
 大軍団をゾロゾロと見せつけるようなヤツは愚か者。それに乗ってしまって、こちらも大軍団を作ってやろうという時点でもう負けているんだよなぁ。
 というわけで、無駄なお飾りで丁々発止するのって、ちょっとバカっぽく見えるのよね。
 だから日本は今のままで良いと思うんだけどね。
 そうそう、和田竜著「のぼうの城」で成田長親が言うこのセリフ、よく読んで考えてみると面白い。

「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」
 強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、一片の誇りを持つことさえも許されない。小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、人がましい顔で幅をきかす。ならば無能で、人が好く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねというのか。
「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」


 そして、石田三成の軍勢二万を相手に長親が「負けなかった」のは、無能(に見せかけて)で人が好く、愚直で信頼されていたからだ。今度の日本国政府は有能かもしれないが、好くはなく、国民を騙して信用もない。そして「負けない」ではなく、「勝つ」ための無駄なチキンレースに参加しようとしている。
 これって、過去の人たちの指摘を何も聞いていないのと同じちゃう? まぁ、こんなものに正解は無いから、核弾頭一個で周りを威圧する国もあるんだけどね。でもさぁ、そういう国って嫌われるよね。最大の防御って、攻守を固めることではなく、味方を増やすことだと、最近は考えている。
 で、これは書いておきたい。ねぇ、みんなさぁ、そんなに嫌われたい?
 少なくとも私は嫌だよ。


のぼうの城

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#映画版は人によって強いストレスを感じることがあるので、少しでもマズイと思ったら視聴を中止すべし!