過去を知り、未来を信じる(二重に間違った麻生太郎)
憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。
これ、Wikipediaで「ヴァイマル憲法」を調べると、おもしろいことが書いてある。
アドルフ・ヒトラー支配下の「ドイツ第三帝国(ナチ・ドイツ)」期において、ヒトラーはヴァイマル憲法に替わる新たな憲法を制定することはなかったため、ヴァイマル憲法はなおも存続し続けた。形式的にいうと、ヴァイマル憲法は1949年5月23日のドイツ連邦共和国基本法(ボン基本法)に替わるまで存続したことになる。しかしこれはあくまで形式的なことで、実質的には1933年3月23日の全権委任法の成立によって効力を失ってしまった。
そして、ここで疑問となる全権委任法について、さらにWikipediaで調べると、次のように書いてある。
全権委任法(ぜんけんいにんほう)とは、授権法(じゅけんほう)(独: Ermächtigungsgesetz、英語: Enabling act)とよばれる、立法府が行政府に立法権を含む一定の権利を認める法律のうち、1933年のドイツで定められた、ヒトラーの政府に国会が立法権を委譲した「民族および国家の危難を除去するための法律」(独: Gesetz zur Behebung der Not von Volk und Reich)を指す。
さて、この二つの項目から、どんな答がえられるだろうか?
まず、最初の項目からわかること。
ナチスは憲法を変えていない! 「ナチス憲法」なんてものは存在すらしていないかった。
そして、次の項目からわかること。
ナチスは憲法を変えず、立法権を握ることで、堂々と憲法を無力化させた。
ということは、麻生副首相は、二重に間違っているという結論になる。改憲の話題で、最も不適切な例を出してしまっているのだ。
つまり、この人は過去に起こったことの詳細をまるで知らず、そして間違った知識を未来に適用するなどという言語道断な事をしてやろうと思っていたのだ。
改憲の話題で「ワイマール憲法の元でナチスが選ばれた」という話なら、それは筋が通っている。しかし、前後の文脈を問わず、「ナチスが憲法を変えた」というのは徹頭徹尾、全面的に不適切かつ間違っているという結論しか導き出せない。
ここで事の是非は考えない。しかし、話の根拠となっている前提が全て間違っている。つまり、話の内容は全て空虚なものでしか無くなっているのだ。中身がまるで無いから、論ずるに足りないと指摘するだけで十分なのだ。
こんなもんでどう?
ワイマル共和国―ヒトラーを出現させたもの (中公新書 (27))
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