「ナイト・ウォッチ」感想

 「バトル・ファンタジー」と銘打たれているが、実は正統なロシアSF。
 古来より争っていた光の勢力と闇の勢力が「条約」によって均衡を保っている世界。お互いの組織がお互いを監視しながら世のバランスが保たれている。
 物語は三つのエピソードで構成されており、光の勢力に属する「ナイト・パトロール隊」に属する主人公が、組織間の策略のなかで「チェスのコマ」として動かされ、自分ではどうしようも出来ない大きな計画の中で翻弄される姿が描かれる。
 ストルガツキイ兄弟の作品でも垣間見られた「組織の中での無力感」、「人間と、それを越える者とのギャップ」が、本作品の中でも丁寧に描かれている。
 SFファンは必読。ロシアSFファンには義務。