「天皇陛下万歳」と言って自死

「集団自決」が起きたのは翌28日。たどり着いた山中で家族や親類ごとに円陣を組んで座った。村長の短い訓示の後、「天皇陛下万歳」の叫びとともに、あちこちで手投げ弾が爆発した。
兵器係の軍曹が住民二十数人に手投げ弾を2個ずつ配り、「敵に遭遇したら1発は敵に投げ、捕虜になる恐れのある時は残りの1発で自決せよ」と訓示した、という。

62年前に見た集団自決の現場 「軍曹が命じた」

 こういう話を読むたびに、「軍隊」とか「天皇」とかいったシロモノが、どんどん嫌いになって行く。
 これは不自然な感情だろうか。私としては、非常に普通であり、自然な気持ちだと思われるのだが。
 負ける事がわかっていながら、「現人神」や「神国日本」を信じ、必ず神風が吹くという根拠もないカルト的な思考状態で自死していった特攻隊員や南方に移住した日本人たち。
 再軍備を支持し、憲法九条の廃止を唱える人達は、かつて大日本帝国の唱えた「八紘一宇」がオウム真理教の「ポア」と、本質的なスタンスにおいて全く変わらないということに気が付いているのだろうか。
 「南京大虐殺」、「従軍慰安婦」、「集団自決」、「特攻」といった、都合の悪い断片だけを消し去り、戦争そのものを「アジアの秩序安定」などという都合の良い後付の理由で美化するキチガイには、絶対になりたくないものだ。

貧国強兵 (光人社NF文庫)

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