鬼太鼓座@関内ホール

 この一座は、日本の古典である和太鼓の調べを踏襲し、それを独自の理論で分解・再構築した前衛的パフォーマンスミュージックアート集団である。
 あらゆる周波数の音成分が含まれた和太鼓の音は、可聴域を上限でも下限でも遙かに超え、低周波は腹や背骨を揺さぶり、高周波は頭蓋骨を揺さぶる。
 演奏者が感じているであろう疾走感や恍惚感は、その筋肉から発せられるパワーや飛び散る汗となり、打たれた太鼓の一撃は、衝撃波となって直接観客に襲いかかってくる。そして振動を感じた観客は、その時、演奏者と同じ感覚を共有できるのだ。
 肉体論と音楽論の融合、パフォーマンスと音楽の融合と評すればバレエやオペラという形式がすでにあるという論によって陳腐に成り下がってしまう。だが、和太鼓や尺八という独特の響きを持った音、そして古来より伝わる太鼓拍子が、その陳腐さを超越し、観客を十分に納得させ、感動させ、そして楽しませる説得力を生み出すオリジナリティを与えている
 バレエのダンサーは極限にまで鍛え上げられた肉体によって西洋の精神を表現する。鬼太鼓座は同じく極限にまで鍛え上げられた肉体による流れるようなばち捌きによって連続した荒々しくも美しい音で東洋の魂を表現する。方法論は同じ、表現する目的も同じだ。和と洋との対立のみが違いである。
 しかし、その発祥となっている精神の源が違うものである以上、鬼太鼓座鼓童といった集団によるパフォーマンスは、もうそれのみが一つのジャンルを作り上げている芸術であり、娯楽であると思う。
 というわけで、結論:メッチャクチャ楽しかったぁ!

〈COLEZO!〉鬼太鼓座 ベスト

〈COLEZO!〉鬼太鼓座 ベスト