スピリチュアル信者の二分法

 自称霊能力者とかインチキ占い師、カルト宗教を信じる人が何かと言う言い訳。
 「科学でもわからないことはいっぱいあるはずだから、科学的でないからといって否定するのはおかしい」
 確かに科学で分かっていないことは数限りなくある。しかも、永久にわからないことだってたくさんあるだろう。科学には自ずと限界があるのだが、その限界に達するまでに究明することは無限にある。だから、科学が未だに完全でないというのは極めて自然なことなのだ。
 しかし、「科学が不完全」だということが、「スピリチュアルが正しい」という根拠になっていないことに気が付いているのだろうか。自分の信じる非科学的な事が、科学では未解明な真実であるという証明手段がどこにも無いのだ。この点に気が付かないのか、考えないようにしているのか、詳しくはわからないが、うやむやにされているような気がする。
 「科学ではわからない部分もたくさんある」=「スピリチュアルが正しい」
という公式は絶対に成り立たない。
 もし、「科学は不完全」=「科学では観測できていないスピリチュアルの世界は存在する」という等式が正しいと思っているのなら、「二分法の罠」に陥っているとしか言えない。なぜなら、科学とスピリチュアルが完全にお互いを否定しているといった対立する概念では無いからだ。だいたい、対立するどころか、今のところは「無関係」というのが正解なので、いちいち持ち出してきた時点で間違っているのである。科学の側がスピリチュアルを攻撃しているかのように見えるのは、明らかにスピリチュアルの側が「観測も証明もされないことを、いかにも真実であるかのように宣伝している」という理由があるからだ。明白な嘘に対して、「それは嘘だ」と言っているだけなのである。そうでない限り、お互いには何の関係性も無い。
 なぜに、科学の対立事項としてスピリチュアルを持って来たがるのか? 科学が不完全ということが、すぐにスピリチュアルが正しいという証明にはなっていないことに気が付かないのか? 私には非常に不可解である。
 「わからないことはわからない。わかっていない事もいつかわかるかもしれない」という態度が最も自然だと思う。だが、人は「真実」を求める事を急ぎすぎるあまり、いかに胡散臭くとも「これが真実です」と言い切ってしまう開き直りの名人(要は詐欺師ね)に引っかかってしまうのだろう。
 この世の中は、二分法で割り切れるほど単純なものではない。わかっていないことについては「わからない」というのが最も素直な生き方ではないのか。その「わからない」という不安に乗じて「これが正解です」と、耳障りの良い回答を用意しているヤツほど胡散臭いものはない。
 だから、私は「科学でもわかっていないことはたくさんある」と知っていても、「スピリチュアルは正しい」などというデタラメは絶対に言わないし、そういうインチキを平気で垂れ流す輩を嫌悪するのである。


#そうだ、宗教の側から科学を否定した極端な例があるのを忘れていた。「創造説」があった。聖書の記述の方が正しいと言って進化論を否定するという凄い話。これは攻撃されても文句は言えまい。