期待と不安の政治ゲーム

政治的な理由で人道支援を中止するのなら、支援の真の狙いは何だったのかとの疑問が生じる」
声明は、「出入国カードの記入が、国境画定を含む2国間平和条約締結交渉における日本の立場を変えてしまうとの見方はとらない」との解釈を示し、日本側の懸念を打ち消した。

北方領土の訪問団問題、露側が声明「政治化は非生産的」

 この場合、日本はロシア側に対して言い返せない。「人道支援」が目的なら手続きは関係ないはずだ。その矛盾を突かれたかたちになったので、日本側は厳しい。
 しかし、平和条約締結の可能性まで断ち切ってこなかった点に関しては、ロシア側からの「問いかけ」だと考える。
 「日本は返還ばかりにこだわっているけど、そのへんは両国の利益を考えて柔軟に対応しない限り交渉は進展しないよ」と言われているように思えてしまう。
 これまで、日本政府はずっと「返還」という立場を変えていない。しかし、交渉を妨害しているのは、明らかに日本政府が譲らない「返還」という解決策しか出してこない柔軟性の無さなのだ。
 今回の件、前向きに捉えるのなら、頭の固い日本政府に対して、ロシア側からお灸をすえられたという見方もできるね。