生きることとは慣れること

 ソ連時代、滞在時にちょっとしたトラブルがあって少々困ったことになったのだが、その際にとある作家から言われた。
 「ノリヒロ、心配しても仕方が無い。これがソ連の生活なんだ。我々の日常なんだ。恐怖と焦りと我慢ばかりの毎日だ。思うようになることなんて一つも無い。でも、その中で我々は生きてきたんだ。だから、みんな無感覚になって、それが当たり前のことだと思うようにしているんだ。そうじゃないと生きては行けない。何が起ころうとも、それが当たり前のことだと思って慣れて行くしかないんだ。それがソ連の社会なんだ」
 これ、今の日本の社会にそのまま当てはまるよね。面白い現象だ。
 でも、この人は、「希望」だけは捨てなかった。その意思は見習いたい。