文化の違いによる言葉の重み

 こういう仕事をしていると、海外の人との付き合いが増える。こういう時、日常でもっとも用心しなくてはならないのは、文化によって同じような言葉でも重みやニュアンスが違うことを考慮して、会話を進めなければならないという点だろう。
 同じような意味の言葉でも、相当に意味合いが違うので、これを了解していないと、無駄にやきもきしたり、誤解を生むことになる。
 ただし、約束を守るか、きちんと対応してくれるのかどうかは人による。

 "OK"とか"Oh my god"は口癖。あんまり気にしてはいけない。これを日本人の感覚で"OK"を「わかりました」とか「よろしい」と捉えると、意見の食い違いが起こる。

  • ロシア人

 英語で言うところの"No problem"とか"I know"、"Good"にそれほどの意味は無い。相槌くらいに思っておいた方がいい。これを字義通りに捉えてはいけない。

  • 韓国人

 日本語で言うところの「大丈夫です」とか「わかりました」は、日本人が思う以上に重大に捉える。言葉を選ばないと、後でたいへんなことになる。

  • 中国人

 何しろ文化圏として広いし、生まれ育ってきた環境による個人差が大きいので、一概には何にも言えないのが苦労するところ。

  • 日本人

 簡単に「大丈夫」というが、それを辞書の通りに直訳しても、言葉の意味の捉えかたが違うので大変なことになる。アメリカ人は"Fine"くらいの意味で捉える傾向があるし、ロシア人は「これに大した意味は無い」と捉える。そして韓国人はそのまま、言った本人には何の問題も無いと捉える。さらに中国人が相手だと反応が読めない。
 だから、やせ我慢の「大丈夫」なのか、本当に問題が無い「大丈夫」なのか、それとも社交辞令の「大丈夫」なのか、その点をはっきりと伝えないとまずい。


 とまあ、相槌でもこれだけ違うので、「感覚が違うので、話にならない」と結論付ける前に、文化による言葉の重みとか、表現方法が違うことを理解しなければ、相互理解は遠い。
 話が思うように運ばないからといって、「だから××人は」と言ってしまう前に、文化への理解が無いお互いを反省するところから始めるべきだろう。
 辞書だけでは駄目なんだよね。というか、辞書を信じて直訳することの恐さを理解しておかないとね。