贈る言葉

もっともよい復讐の方法は自分まで同じ行為をしないことだ。
――「自省録」、第6巻、6


というわけで、私は明らかに事実とは異なる事に関しては反論を行うが、人をあげつらうことはしない。

自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)


人を信ずる者は、人未だ必ずしも尽くは誠ならざるも、己は則ち独り誠なり。人を疑う者は、人未だ必ずしも皆は詐らざるも、己は則ち先ず詐れり。
――「菜根譚」、前集、一五九


人を信用する者は、人は必ずも皆が皆、誠実であるとは限らないが、少なくとも自分だけは誠実であることになる。人を疑う者は、人は必ずしも皆が皆、偽り欺くとは限らないが、少なくとも自分がまず偽り欺くことになる。

菜根譚 (岩波文庫)

菜根譚 (岩波文庫)


ある男が斧をなくした。男は、隣の息子が盗んだのではないかと疑った。隣の息子を観察してみると、歩きかたも顔いろ言動も、いかにも斧を盗んだように見える。のちに、男は自分の窪地を掘り起こしていたら、偶然、なくした斧が出てきた。後日、また隣の息子を観察してみると、動作や態度に怪しい点はなくなっていた。「これが疑心、暗鬼を生ずというものだ」
――「列子」、説符第八

列子 上 (岩波文庫 青 209-1)

列子 上 (岩波文庫 青 209-1)